2012年5月9日水曜日

あなたは、夫からの暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?: 提言 東日本大震災とその後の原発事故の影響から子どもを守るために


提言 東日本大震災とその後の原発事故の影響から子どもを守るために
平成23年(2011年)9月27日
日本学術会議 東日本大震災対策委員会 臨床医学委員会出生・発達分科会

この提言は、日本学術会議臨床医学委員会出生・発達分科会の審議の結果を取りまとめ、東日本大震災対策委員会の承認を得て公表するものである。
日本学術会議臨床医学委員会出生・発達分科会
委員長 五十嵐 隆 (第二部会員) 東京大学大学院医学系研究科教授
副委員長 水田 祥代 (第二部会員) 九州大学名誉教授・福岡歯科大学客員教授
幹 事 滝田 順子 (特任連携会員) 東京大学医学部附属病院無菌治療部講師
岡部 信彦 (連携会員) 国立感染症研究所感染症情報センター長
奥山眞紀子 (連携会員) 国立成育医療研究センターこころの診療部長
中川 恵一 (特任連携会員) 東京大学医学系研究科准教授
別所 文雄 (連携会員) 杏林大学医学部小児科客員教授
森島 恒雄 (連携会員) 岡山大学大学院医歯薬学総合研究小児医科学教授
山中 龍宏 (連携会員) 緑園こどもクリニック院長

要 旨
1 作成の背景
平成23 年3月11 日の東日本大震災とその後に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射線被ばくは、被災した地区の子どもだけでなくわが国の子ども全体に大きな影響を及ぼしている。国や地方自治体は復興に向けて様々な施策を取っているが、行うべき施策は山積しており、実施の優先順位において困難な利害の対立が生じている。これまで行われてきた施策は必ずしも将来のわが国を担う子どものことを第一に考えての施策ではなかった。わが国の子どものこころと体の健康を増進し、健やかな育成を目指すために必要と考えられる施策について提言する。

2 現状及び問題点
(1) 被災地区の子どもに感染症が流行し、定期予防接種を受けられない子どもが発生した。
被災地の避難施設ではインフルエンザ等の感染症が流行した。被災地での感染症サーベイランスシステムが整備されていない。母子手帳を失ったり、住所地から避難したため、定期予防接種を受けられない子どもが生じた。
(2) 低線量放射線被ばくと内部被ばくを受ける可能性が現在も続いている。
現在、居住地の放射線量は年間20mSv 以下であるが、今後も内部被ばくを受ける可能性がある。また、これ以上の被ばくを避けるために医療用放射線の使用を減らす動きが出ている。
(3) 被災した子どもの学びの場や就職先が喪失している。
被災地では大きな被害を受けなかった学校が避難所や仮設住宅として利用され、教育の場としての機能が阻害されている。障害を持つ子どもにとって、避難所での生活は周囲の理解をえられないために様々な困難が生じている。震災の影響により、被災地では高校生の就職先が著しく減少している。
(4) 震災時に外因による子どもの健康被害が生じた。
建築物の倒壊による傷害や津波による被害が生じる可能性が子どもにとって存在する。
(5) 災害時の小児の健康を守るシステムが阻害された。
大震災による子どもの生活環境の変化は、子どもの健全な成長・発達に深刻な影響を及ぼす危険性を有する。
(6) 被災した子どものこころのストレスが増大している。
災害による恐怖体験は子どもにとってトラウマ性のストレスで、家族や家を失った子どもへの大きな打撃となっている。さらに、原子力発電所の事故による不安や恐怖、そして避難による生活環境の大きな変化は子どもにとって慢性のストレスとなっている。

3 提言等の内容
(1) 被災地区の子どもの感染症対策を充実させる。
被災地のあるいは避難した子どもが確実に予防接種を受ける事の出来る体制を作る。避難所や仮設住宅で流行する感染症を把握する体制を作る。母子手帳がなくても予防接種の記録が残るようなシステムを構築する。
(2) 放射線被ばくを受けた可能性がある子どもの健康を守るための施策を実施する。
被災地の被ばく線量を減らすための環境改善を行う。被ばくした可能性がある子どもと胎児だった子どもの被ばく線量をモニターし、甲状腺がん・白血病に注目した検診を行う。
(3) 被災した子どもの学びの場と就職を保障する。
 学校の耐震化を推進し、トイレや水回りを確保し、非常食などの備蓄基地とする。地域住民と学校は協力して防災対策を行う。子どもの学びの場を確保するため、学校の敷地外に避難所や仮設住宅を建設する。高校生の就職先を確保するために、自治体は経済団体と連携する。
(4) 外因による子どもの健康被害を予防するための施策をとる。
 地震でも倒壊しない建築物や家具什器を作るための指針を作成する。津波発生前の子どもの避難マニュアルを整備する。今回の震災による災害状況を記録として保存する。
(5) 災害時・災害後の子どものこころと体の健康を守るシステムを構築する。
 災害時や災害後でもすべての子どもの生活環境や医療水準を整備し、子どものこころと体が健康に発育する状況を保障する。乳幼児の栄養管理を推進する。被災した子どもの健康問題や災害被害をモニターし、記録として残す。
(6) 被災した子どものこころのケアを行う。
 子どもとその家族全体のこころのケアを行う体制を作る。そのために、保育士、教師、保健師、医師が協力して、子どもと家族の相談を受け、ケアを行うことが出来るような人材育成と支援が必要である。

目 次
1 はじめに
2 被災後のわが国の子どものこころと体の健康を増進し、健やかな育成を目指すために
(1) 被災地区における子どもへの感染症対策
(2) 低線量放射線被ばくによる子どもの健康への影響と対応
(3) 被災した子どもの学びの場と就職の保障
(4) 外因による子どもの健康被害の予防と対応
(5) 災害時・災害後の子どものこころと体の健康を守るシステムの構築
(6) 被災した子どものこころのケア
<参考文献>

1 はじめに
 平成23年3月11日の東日本大震災とその後に起きた東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)の事故による放射線被ばくは、被災した地区の子どもだけでなくわが国の子ども全体に大きな影響を及ぼしている。国や地方自治体は復興に向けて様々な施策を取っているが、行うべき施策は山積しており、実施の優先順位において困難な利害の対立が生じている。これまで行われてきた施策は必ずしも将来のわが国を担う子どものことを第一に考えての施策ではなかった。現在のわが国の困難な状況の中にあっても、わが国の将来
を担う子どものこころと体の健康を守る事業に対しては特に高い優先順位をつけるべきと考える。わが国の子どものこころと体の健康を増進し、健やかな育成を目指すために必要と考えられる施策について提言する。


にきびを防ぐ方法は、にきびの原因

2 被災後のわが国の子どものこころと体の健康を増進し、健やかな育成を目指すために
(1) 被災地区における子どもへの感染症対策
現状と課題
ア 子どもの感染症の現状
 2011年3月、被災地区では国内の他地区では終息傾向にあったインフルエンザが再び流行した。A 香港型が主体でAH1N1(2009)及びB 型もみられた。また、同時期にノロウィルスによる急性胃腸炎の患者数も一部避難施設等で拡大した。5月にはこれらの感染症は減少傾向となったが、麻疹(輸入麻疹)の小規模な流行が被災地区で拡大する可能性や水痘・ムンプスなどの日常感染症の流行も予測され、予防接種により予防可能な感染症(vaccine preventable disease: VPD)への対策が必要な状況が続いている。ただし、東北地方のこれまでの予防接種率は関東・関西方面に比して高く、危惧された麻疹の流行などは発生していない。
イ ワクチンによる予防対策の実施
 厚生労働省結核感染症課より、3月16 日付けで被災地の子どもと避難した子どもへの予防接種実施を進める通達がされた(1)。今回の東日本大震災における小児の感染予防とくに予防接種の実施に関して、以下のような問題点が考えられる。
(i) 各避難所への小児の収容は一様ではなく、幅広い地区に分散しており、どの避難所にどのぐらいの人数の小児がいるか震災後初期には把握が困難であった(現在でも十分把握できていない地域もある)。また、上記の理由から感染症の流行状況についての正しい把握が急性期には困難であった。したがって必要な時期に、適切な予防接種が必ずしも実施できなかった。
(ii) 少なからぬ数の子どもが被災地区あるいは原発避難地区などを離れ、日本の各地に避難した。厚生労働省より、こうした子どもたちへの予防接種(定期接種など)に便宜をはかるよう事務連絡による要請が4月25 日付でなされた(2)。しかしながら、予防接種を実施する現場では、避難先の自治体が、予防接種の費用負担や副作用の救済などの費用負担について、具体的な方策が明記されておらず、少なからず現場の混乱が認められた。それに関して日本小児感染症学会(理事長:森島恒雄、日本学術会議連携会員)より、日本小児科学会(会長:五十嵐 隆、日本学術会議第二部会員)を通じて適切な予防接種を迅速に実施できる体制を整えるように要望が出され、日本小児科学会より日本予防接種推進協議専門家会議に提言し、同会によ
り厚生労働省に対する提言が8月1 日にまとめられた (3)。
(iii) 小児の感染予防という立場から阪神・淡路大震災と比較した場合、今回の大震災では以下のような特徴がある。
膨大な面積の地域が被災を受けたが、小児人口が多くないため、予防接種を含めた感染予防対策が十分いきわたらない可能性がある。
被害が甚大で、復興に長い時間がかかるため、子どもたちの避難所あるいは仮設住宅または避難先における生活が長期にわたる可能性が高い。
放射線被ばくの問題が長期化し、広範な地域の人々が避難生活を余儀なくされた。
今後、季節ごとの様々な感染症が流行しこれらの子どもたちに影響が及ぶ可能性が高いため、あらかじめの予防は重要である。その中で定期の予防接種及び任意予防接種を確実に実施していく接種母体(各市町村及び予防接種担当医師・看護師)の不足が長期にわたるほど問題が顕在化してくる。こうした状況においても、受けなくてはならないあるいは受けることが望ましい予防接種を受けられない子どもたちが今後増加しないよう、あらかじめの対策を講じる必要がある。
(iv) 感染症発生の早期検知(感染症サーベイランス)に問題が生じている。今回被災地現場で復帰あるいは応援に駆け付けた医療・保健関係者の多くは早期検知のためのサーベイランスの必要性を感じながらも、必要な要素のどれも不明確でそれぞれが独自の方法をとるか、あるいは眼前の優先事項のために二の次にせざるを得ない状況であった。さらに被災直後の通信方法の遮断は致命的であった。国立感染症研究所感染症情報センターではパソコンあるいは携帯電話による簡易的避難所サーベイランスの提示、あるいは少し落ち着いてきたところでの被災地・避難所における感染症発生情報の探知支援システムに関しての提案などを行ったが、第一に初期には通信手段が確保されなかったこと、第二に国あるいは自治体に緊急時のサーベイ� ��ンスシステムが確立されていなかった。またシステムとして動いた場合、「現場への過剰な負担を強いることになる」ということも大きな問題として提起された。緊急医療体制が動いたのちには、疾病ことに感染症の発生状況を把握することによりその後の保健・医療対策が行われ、被災地の方々の安全確保に寄与できる。
 今回は小児の間で規模の大きい感染症のアウトブレイクは生じていないが、今後の課題として、通常時と異なった緊急時サーベイランス体制として、「誰が」「いつ」「どこで」「どのように」情報を収集し、「どこへ」データを送り、「誰が」「まとめて」「どこへ」フィードバックをするかということを、通信手段を含めて国や自治体のシステムとしてあらかじめ構築しておくことが、健康危機管理対策の一環として必要である。
提言
ア 被災した子どもに予防接種を実施する。
 被災地区における子どもたち及び被災地区を離れた子どもたちが確実に予防接種を受けられるよう、長期的な視野に立った体制を迅速に整える。
イ 避難所や仮設住宅にいる子どもの感染症流行状況を把握し予防接種を実施する。
 避難所あるいは仮設住宅における生活が長期化することが予測される。その中で感染症とくにVPD の流行を迅速に把握し、それに対応して緊急に予防接種を実施できる体制を整える。
ウ 子どもに関する母子手帳の記載内容を中央管理化する。
 今回の震災で母子手帳を失った家族が多数見られた。予防接種の実施記録などが保存され、全国どこにいても確認できるようなシステムを構築する。
エ 感染症緊急時サーベイランス体制を構築する。
 通常時と異なった感染症緊急時サーベイランス体制を、通信手段を含めて国や自治体のシステムとしてあらかじめ構築する。

(2) 低線量放射線被ばくによる子どもの健康への影響と対応
現状と課題
ア 低線量放射線被ばくの健康への影響について
 福島第一原発事故では、事故後速やかに20km 圏内の避難が実施されたため、一般住民については高線量の被ばくはなかったと推測されている。そして現在の居住地域は年間20mSv 以下の場所に限られている。原発から漏出したのは放射性ヨウ素と放射性セシウムだったが、前者は半減期が8 日と短いため現在はほぼ消失し、残っているのは放射性セシウムである。放射線の健康に対する影響は様々であるが、がんが社会的に最も関心が高い。
 各種被ばくについて過去に以下のような研究がされている。
(i)原爆被ばく
 原爆被ばく者では白血病及び固形がんの発生が増加する (1-3)。被ばく後の時間によって、有意に増加が見られるがんの種類に差がある(4)。
 放射線影響研究所による原爆被爆者の疫学調査から明らかになった放射線の長期的な健康影響は、30 歳で 1,000 mSv の放射線に被ばくした場合、男女平均して70 歳で固形がん(白血病以外の普通の意味でのがん全体を指す)により死亡する頻度が約 1.5 倍に増加する。このリスクは 100−200 mSv 以上では放射線の被ばく線量に正比例しているが、それ以下ではどういう関係になっているかは分かっていない。もしがんのリスクは被ばく線量に比例的で「しきい値」(それ以上の被ばくで影響があり、それ以下で影響がない境目の被ばく線量)がないと考えるならば、100 mSv では約 1.05 倍、10 mSv では約 1.005 倍と予想される。なお、原爆は一瞬の被ばくであったのに対して、環境汚染などにより被ばくする場合は長期間の慢性被ばくであり、この場合には、放射線の総量は同じでも急性被ばくの場合より影響が少ない(1/2 あるいは 1/1.5)とする考えがある。また、これまでの研究では、被爆者の子どもへの遺伝的影響は認められていない(
 なお、国立がん研究センターの報告では、100mSv の放射線の発がんリスクは非喫煙女性の受動喫煙、あるいは野菜の摂取不足の発がんリスクと同程度であるとされている(
(ii)チェルノブイリ原発事故被ばく
 放射性ヨウ素で汚染した牛乳等を飲食したために、甲状腺がんが増加した6-7)。被ばく時年齢が若いほど過剰相対リスクが高く、被ばくから発生までの時間が短く、悪性度が高い(8)。
(iii)高自然放射線地域における被ばく
 世界では年間被ばく線量が、平均でも10 mSv/y、最高値では100 mSv/y を超える高自然放射線地域がある。これらの地域に居住する人々についての調査では、がん死亡率の有意な増加やその他の健康障害は証明されていない(9)。
(iv)職業被ばく
 放射線業務従事者、原子力施設従業員など、低線量被ばくを受ける人を対象とした調査でも、がんによる死亡率の有意な増加は認められていない(10)。
(v) 良性疾患に対する治療照射による被ばく
 小児期に、胸腺肥大や扁桃肥大、頭皮白癬に対する治療として、頭頸部に放射線照射を受けた小児に、甲状腺腫瘍、乳癌、 皮膚癌などの発生が見られている(11,12, 13)。これらの腫瘍は9 rads 以下、または400 レントゲンという低線量で発生した。
イ 放射線被ばくによる発がん発生率の年齢による差
 子どもは放射線感受性が高く、放射線誘発発がんに対する感受性も高い。0-歳時の小児は成人と比較し、放射線誘発発がんリスクが白血病で4-5倍、甲状腺癌で2-3倍に増加する。また、小児白血病については、在胎中の被ばくの影響、特に家族歴がある場合の影響についても報告されている(14)。子どもは放射線感受性が高いだけでなく、体重あたりの分時換気量が大人より多いので大人より大量の放射性物質を吸入するために体内被ばくを受けやすいからである。
ウ 被ばくの種類
(i)一過性被ばくと持続的被ばく
 今回の事故では原子爆弾炸裂時のような一過性の大量被ばくはなかった。しかし、被爆地がそうであったのと同様に、生活圏内に蓄積した低線量の放射線源による内部被ばくが問題となりうる。
(ii)体外被ばくと体内被ばく
 放出された放射性物質は体内に取込まれるが、放射線核種の化学的性質により体内での分布に差が見られる。甲状腺は放射性ヨウ素を選択的に取り込むため、発がんしやすいが、半減期が短いため、現在は放射性ヨウ素は検出されていない。放射性セシウムは筋肉などの臓器に広く分布し、特定の臓器にがんを起こすことはないといわれる。


にきびのための無料治療

提言
ア 被災地の被ばく線量を減らす環境改善を行う。
 環境から子どもが受ける放射線被ばく線量を減らすため、校庭や公園など子どもが遊ぶ場所で年間1mSv を超える場合には、放射性セシウムを含む表層土を除去するなどの環境整備を行う。環境中の放射性セシウムを減らすことは、二次的な内部被ばくを減らす効果を持つ。
イ 疫学研究を行う。
 がんの発生にはさまざまな要因があり、それらの要因と個々の発がん例とを直接的に結びつけることは難しい。要因と発がんとの因果関係の証明のためには、その要因を有する集団と要因を持たない集団との比較を行う疫学的研究が不可欠である。放射線と発がんについても同様である。その上で、放射線に被ばくした可能性がある集団については被ばく線量評価をした上で長期間経過観察し、がん死亡率、発がん率の放射線量に対する線量反応関係の有無を検討する。なお、がんの発生に関する今回の疫学研究は放射線被ばくを受けた子どもの健康被害に対する対策に資するための研究でなくてはならない。
 疫学研究においては、健康被害を問診と検査により検出した場合には、必要な治療などの対策を講じる。得られた臨床所見をデータベース化し、問題となっている要因との因果関係を統計学的に推定することを行う。医療と研究は表裏の関係にある。データ収集の過程で見いだされた既知の健康被害には必要な医療を行う。
ウ 放射線被ばくを受けている子どもの健康を守る。
 放射線被ばくを受けている子どもだけでなく、胎児の健康を守るために以下の対応が必要である。
(i)被ばく線量の評価
 がん死亡率、発がん率の放射線量に対する線量反応曲線を決定するために、学校あるいは地域ごとに集団の被ばく線量の評価を行う。
(ii)データベースの作成
 コホート研究を可能とするため、米国スリーマイル島における同様の事故の際にとられた対策を参考に、地域を限った疾患登録制度を、事故後に避難、転居などによりその後の住所が被災地以外になった場合も追跡可能なシステムとして構築する必要がある(15)。この際、現在の子どもばかりでなく、将来の子ども、すなわち胎児の被ばくの影響にも注意を払う必要があり、妊婦とこれから生まれてくる子どもも登録及び追跡の対象とすべきである。
(iii) スクリーニング検査の実施
 甲状腺がんや白血病に注目した検診が重要であるが、がんの発生以外の健康状態の把握も行う必要がある。健診提供側、受給側の負担を可能な限り減らすと共に、考えられる交絡要因の解析を可能とするためにもよくデザインされた問診表を活用すべきである。
(iv) 発がんに関与する他の要因の排除
 放射線は発がんに関与する様々な因子の一つである(16)。発がんはそれらの因子が複合的に関与して発生する。従って、放射線の脅威を直ちには排除できない状況下では、がんの大きな要因であるタバコの害を減らし、放射線を用いた診断機器の不要な使用を減らすことも重要である(17,18,19,20)。
(v) 被ばくを受けた住民の健康管理に関する施策策定時の小児科医の参画
 今後計画される住民の健康管理に関する施策策定に当たっては、小児科医を複数参加させることが必要である。
エ 将来想定される放射線被ばく事故に対して準備する。
 電力供給を原子力発電に依存し続けることの是非について議論されている。今後も一定の確率で低線量のみならず、中線量から高線量かつ高線量率の被ばく事故が発生することを想定すれば次の対策をとることが重要である。
(ア) 被ばくに対する備えを議論する場に放射線障害の知識を持つ小児科医を複数加える。
 子どもは被ばくによる発がんの感受性が高いこと、放出された後に地表に蓄積された放射線源に接する機会が多いこと、被ばく時点での余命が長期であり、残留放射線による被ばくをより長期に受けることなどから、成人より被ばくによる健康上の影響を強く受ける。従って、子どもの生物学的特性と発育・発達について十分な知識と経験を有する者の関与が必須と考えられる。
(イ) 放射線被ばくに関する医療を、医学教育、看護教育のカリキュラムに組み入れる。
 わが国の現在の医学教育では、医療放射線についての教育は、診断のための放射線被ばくはもとより、治療のための被ばくについてさえ十分でない。このことは、今回の福島第一原発事故に対する対応の混乱からも明かである。被ばく情報を適切に理解し対応することは、救急患者のトリアージを実施し、自動体外式除細動器を正しく使えるようにする教育と同程度に必要である。
(ウ) 一定程度以上の放射線被ばくが想定される地域、すなわち原子力発電施設のみならず、放射線源を扱う施設を含む一定の領域の子どもが集中する施設にヨード剤を適時・的確に配布できる体制を整備する。
 甲状腺へのI-131 の取込みを防ぐためには、同核種の放出後短時間の内に、できれば事前にヨード剤を服用することが必要であり、放出後に配布することでは十分ではない可能性がある。日常的なヨードの摂取量にもよるが、直後の投与では取り込み抑制効果は100%であるものの、24 時間後では7%に過ぎず、12 時間
以上経てからの投与では臨床的有効性はない(21)。


慢性疲労症候群と闘う

(3) 被災した子どもの学びの場と就職の保障
現状と課題
ア 被災地における学校の現状
 震災時において子どもたちの日常生活を取り戻すために「学校」の果たす役割は大きい。震災時の学校は子どもたちへの心身両面の援助という学校本来の『教育の場としての学校』と避難所、仮設住宅用スペース、復旧対策の拠点などの『スペースとしての学校』の役割が有り、後者に重点が置かれがちである(1)。
 今回の震災後の学校は間に春休みを挟んだが、被災地の多くの学校で新学期の開始は通常より遅れた。しかし、文部科学省によると5月23 日現在、福島県相双地区の一部の学校を除き、すべて始業済みである。一方、震災により、震災前の学校と別の学校において受け入れた幼児児童生徒数は5月1日現在21,769 名であり(被害が甚大な岩手県、宮城県、福島県以外からの受け入れも含む)、学校種別の内訳は、幼稚園2,541 名、小学校12,566 名、中学校4,632 名、高等学校1,901 名などであった。21,769 名のうち、岩手、宮城、福島の3県の幼児、児童、生徒で他の都道府県の学校に受け入れた数は11,729 名(出身県別の内訳は岩手県237 名、宮城県1,494 名、福島県9,998 名)であった(2)。
 文部科学省に報告された学校施設の建物被害は、全国の小中学校、高校等で約6,000 校であり、このうち岩手、宮城、福島の3県では被害が大きかったために校舎が使用できず,他の学校や公共施設を間借りして授業を行っている公立の小中学校と高校等が145 校であった。
 文部科学省は応急仮設校舎の整備や、比較的被害が軽い施設等の早期復旧等に着手するために予算2,450 億円を計上したが、実際の復旧工事を行うのは市町村であり、被災地では住民の仮設住宅を優先し、学校の仮設校舎の建設時期についてはメドが立っていない。学校の間借りは地震や津波による倒壊だけではなく、3県で最多となる63の小中学校、高校等が他校で授業をしている福島県では、63校のうち45 校が校舎等の被害は無く原発事故による放射能漏れや不安から学校が再開またできていない(3)。
 通常、避難所となった学校においては、教育活動の停止期間が1週間を超えないように努力することが求められているが、文部科学省によると、震災より3か月を過ぎた6月27 日現在、3県で103 の学校がまだ避難所となっている(4)。避難所になっている学校の体育館や理科室等の特別教室は使用できずまた通常の授業に使える教室数も十分とは言えない。
 教育の場としての学校の本来の機能は,学業はもちろん児童生徒等のこころのケアが重要である(5, 6)。文部科学省ではスクールカウンセラー等を延べ216 人派遣し、必要な経費30 億円を措置した。また、教職員定数を加配した。すなわち、今回の震災で死亡、行方不明となった公立の小中学校と高校、特別支援学校の教員は宮城、岩手、福島の3県で計28 人であった。被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県では、被災した教職員が通常の教育活動のほかに避難所のマネージメントなどの仕事もしているために疲弊している。また学習の遅れや心身の健康にかかる教育相談等に対応するための、放課後の家庭訪問や避難所訪問を含めた個別の学習指導も行っている。また、被災児童生徒の受入数が多い山形県、茨城県、栃木県、新潟県などでも、学習の遅れに対する個別指導や登校したがらない児童生徒への訪問指導など、通常以上にきめ細かな個別指導を行うために7県で1,080人 (義務教育諸学校986 人、高等学校94 人)の教員が新たに配属された(7, 8)。
 宮城県では5−6月に東京都から68 人、岐阜県から4人の応援を受け、7月以降は秋田県や兵庫県から28 人が応援する。岩手県では住居確保が困難なため応援教員の受け入れは見送り、県内から臨時教師や教員OB ら235 人を採用した(9)。障害を持つ子どもの場合、本人も家族にとっても避難所での生活は周囲の理解を得られないためにおこる困難を伴う。従って、学校が再開する意味は子どもたちのみならず、家族にとっても非常に大きい。震災前の日常に回復することで、生活全体の安定がみられる。しかし、そのためには周囲の理解はもちろん、自治体をはじめとする保健福祉事業関連からの支援、障害を持つ子供を支援する施設の早期復旧への配慮、家族への経済的支援等をする体制を構築しなくてはならない(10)。
 このような状況に対して、文部科学省、厚生労働省から5月6日に各都道府県教育委員会担当課、障害児福祉主管課等へ『東日本大震災により被災した障害のある子どもに対する状況把握および支援等について』が出された(11)。
イ 文部科学省の施策
 このような状況に対して文部科学省はこれまでに以下の施策を行った(7,12)。
1) 就学援助などの経済的支援の重要性に鑑み、可能な限り速やかに弾力的な対応を行うよう通知した。
2)「子どもの学び支援ポータルサイト」(
3) 第1次補正予算において、被災した児童生徒等の就学等を支援するため、幼稚園就園奨励事業、就学援助事業、奨学金事業、私立学校授業料等減免事業、特別支援教育就学奨励事業、私立専修学校・各種学校授業料等減免事業に要する経費を措置(「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金(新たな負担を全額国庫で支援)113 億円」)した。
4) 教科書発行者等へ教科書の確保等について要請するとともに、被災地において学校が再開される際には確実に供給されること等について、各都道府県教育委員会へ連絡した(供給済み)。
5) 第1次補正予算では震災により修学が困難になった高校生等に対し、各都道府県が実施する奨学金事業への支援として必要な経費を措置(「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金(新たな負担を全額国庫で支援)」)した。各都道府県において、奨学金の貸与要件の緩和や返還時の柔軟な対応を行うことで、より手厚い就学支援が可能となる。
6) 私立学校に転入した児童生徒に対しても同様の支援措置を講じた。
ウ 高校卒業後の就職保障について
 文部科学省は昭和51 年度から毎年高等学校卒業者の就職状況を把握し、就職問題に適切に対処するための参考資料をえるために、3月高等学校卒業者の就職状況を調査し、公表している。調査対象は国立、公立、私立の高等学校(全日制/定時制)である。平成23 年3月末現在の高校生の就職率は全体では改善したが、宮城県で3.3 ポイント減の87.6%、福島県で 2.4 ポイント減の93.1%と、東日本大震災の影響による深刻な状況が明らかになった。平成23 年度3月卒業者については、東日本大震災の影響により調査が困難とする岩手県の5校及び福島県の5校については調査から除外した。従って、今回の震災で就職率がさらに減少している可能性がある(13)。
 厚生労働省の発表資料によると、3月11日 5月25日の期間内の事業主からの内定取り消しは全国362 人(高校生215 人、大学生147 人)で、岩手県55 人、宮城県50 人、福島県80 人、東京都87 人であった。入職時期繰り下げは全国2,232人(中学生2人、高校生1,287 人、大学生943 人)で、岩手県169 人、宮城県318人、福島県308 人、東京都658 人であった。しかし、宮城県教育委員会の4月末の調査では高校生の採用内定取り消しは40 校151 人、高校生の入職時期繰り下げは57 校357 人であった。
 今回の震災後に、地元に残り復興に寄与したいと希望する生徒や、家族とともにこの苦難を乗り越えたいと考える生徒が地元の企業に就職を希望しても、新卒採用を見送る企業が多いために、大半の生徒は県外に就職先を求めざるを得ない。
 各自治体は経済界へ高校生採用枠を設定するように要請した。また、日本高等学校教職員組合は厚生労働大臣に「採用内定を取り消された高校生/障害児学校生の就職保障及び2011 年度卒業生の求人確保と就職の保障に関する緊急要求書」を提出した(14)。
提言
ア 学校を教育施設及び緊急避難場所として整備する。
 平成22年4月1日現在、全国の公立小中学校施設の耐震化率は73.3%にとどまっており、約3割の学校施設で耐震性は確保されていない(3)。また、室内運動場における非構造部材の耐震対策(天井材や照明器具が落下した際にフロアーに人がいた場合,致命的な事故になりかねない。震災後に引き続き避難スペースとして使用できないため)も不十分である。そこで、以下の対応を行う。津波等の被害を受けないように学校の設置場所を考慮する。トイレをはじめとする水周りや非常電源の十分な確保する。避難生活を送るための必要物資(非常食,飲料水、毛布等)を備蓄する。応急処置用医薬品などを配置し、定期的にチェックする。
イ 学校と地域住民とが共同して防災対策を行う。
 日常からの地域住民とのコミュニケーションをとり、学校と共同で住民の防災訓練などの実地とともに、学校が避難所となった場合の運営体制を構築する。その際には、学校職員と住民のそれぞれの役割を明確する。
ウ 児童生徒に防災教育を行う。
 これまで日本人は防災に無関心であったことを反省し、児童生徒の防災教育をしっかり行う。この件に関しては文部科学省も有識者会議を創設し、防災教育の見直しを行う予定である(15)。
エ 学校以外の公的施設を避難所や仮設住宅の建設地とする。
 子どもの学びの場を確保することが子どもの日常生活にとって極めて重要である。そのため、あらかじめ学校以外の公的施設を避難所や仮設住宅の建設地として整備する。
オ 高校生の就職を確保するための対策をとる。
 2011年3月に卒業した被災地の高校生の就職状況を政府の責任で調査し,その実態を把握する。また、2012 年3月の卒業予定者についても就職活動は本年7月から始まるために、実体調査も必要である。さらに内定取り消しや入職時期繰り下げがあった場合には、ジョブサポーターを配置し、支援体制を強化するとともに失業給付などの経済的支援を行う。また、被災地での就職を希望する高校生に対して地域での雇用を促進するために,自治体や日本経団連等の経済団体との連携を強化する。


(4) 外因による子どもの健康被害の予防と対応
現状と課題
 人口動態統計上、子どもの死因に占める「不慮の事故」の割合は高く、子どもの健康問題として事故による傷害は重要な課題となっている(1, 2)。子どもの事故をみると、3歳までは住宅内での事故が多く、それ以後は交通事故が多い。
ア 住空間における傷害
 医療機関から収集した製品による傷害(n=8,334)は自転車、階段、椅子、遊具、ベッド、テーブル・机、ドア、自動車、おもちゃ、ソファの順に多く、住宅内では階段で事故が最も起こりやすい(3)。子どもの傷害は発達と密接な関係がある。わが国の多くの既存住宅は「新耐震基準」(1980 年)以降の建築であり、完全に倒壊する可能性は低くなりつつある。しかし、建物が倒壊しなくても住宅内には、家具の転倒、ガラスの破損、調度品や照明器具の落下、ガス・水道・電気などのインフラの破損など、危険が存在する。特に乳幼児は、転倒や火災を回避できない。避難所や仮設住宅は子どもの生活環境として設計されておらず、子どもが傷害を受ける危険性がある。
イ 交通事故
 小児の不慮の事故による死因(2009年)は、0歳と1歳を除いた年齢層では、すべて交通事故が第1位を占め、0-19 歳では不慮の事故死の48%が交通事故死であった。6歳以下の交通事故による状態別死傷者数は、自動車同乗中が11,687 人、歩行中が4,668 人、自転車乗用中が2,797 人であった。乳幼児は自動車同乗中の事故に遭遇する危険が高い。自動車に乗る時はチャイルドシートの使用が、自転車に乗るときにはヘルメットの着用が原則である(4,5,6)。しかし、震災などの緊急時にはこれらが使用される機会が減少する。緊急時には、被害状況や道路事情なども絡み、交通事故の発生頻度が高くなる可能性が高い。
ウ 津波発生時の避難態勢
 近年、津波から逃れるための学校教育が行われている。今回の津波に際し、訓練を受けていた児童ではほとんど被害が出なかった(7)。一方、大きな被害を受け、子どもが多数死亡したところもある。津波発生時、どのような避難経路をとるかについてマニュアルとして整備されていない地域が少なくなかった。
エ 災害状況の記録、公開
 被災地の状況が様々な形式で撮影され、公開されている。しかしながら、これらを災害予防の観点から保存、公開する活動は始まっていない。今回の震災の死因のほとんどは津波による溺死とされているが、医療機関を受診することが必要であった傷害についてのデータはなく、いつどのような傷害がどのような状況で発生したか、その治療体制についての問題点もはっきりしない。
提言
ア 住空間における傷害予防を図る。
 被災地域に広く協力を求め、建物が倒壊していない住宅を対象に、室内で発生した倒壊や設備の破損、発火などの発生事例について、間取りや図解、写真、説明文など、可能な範囲で詳細な調査をする。この結果をもとに、住宅建材や家具、設備機器などの設計や設置、インテリア計画に対する指針を検討する。仮設住宅・既存住宅周辺での子どもの安全に関わる空間的ニーズを調査し、データベースを作成する。被災時の様子は、施設内、街角、橋や道路の管理のためのカメラに映像として残っている。これらのデータは住空間の安全性評価や避難経路の設計上貴重で、外部研究機関が利用可能な形にして分析すべきである。乳幼児が住む仮設住宅には、キッズデザイン賞を受賞したような安全製品を設置し、それらの安全性を検証� �る。公園遊具は国土交通省のガイドラインに準拠したものを設置する。
イ 震災時の交通事故を予防する。
 震災などの際にも自動車に乗る時はシートベルトやチャイルドシートの使用が不可欠である。自転車に乗る時はヘルメットを着用する。これらの製品が不足している場合は現地に送る。震災後の地域の交通網の整備に当たっては、歩道、自転車専用道路、自動車道路を分離するなど、先進的な交通システムを導入する(1,2)。
ウ 子どもの避難行動を検証し、津波避難マニュアルを作成する。
 津波発生前に避難するマニュアルを各地域、学校で作成し、学校教育の一環として避難訓練を実施する。マニュアルの効果を検証するため、子どもがどの斜面を上がることができたか、どのような高台に逃げたかの聞き取り調査を行い、指針作成の際に役立てる。学校を中心に、子どもも参加できる震災時ハザードマップの共有システムの開発や、避難時に子どもにもわかりやすい避難時の標識なども開発する。
エ 災害状況を記録し公開する。
 被災地の状況を3Dスキャナーで保存し、後世、人類の貴重な財産とする。単なる映像記録ではなく寸法も入ったリアルなデータは産業上、学術上、歴史上の貴重なデータとなる。

(5) 災害時・災害後の子どものこころと体の健康を守るシステムの構築
現状と課題
 子どもは身体的にも精神的にも未発達であり、生活全般を他者(保護者)に直接的に依存している。従って、災害により自身を取り巻く生活環境が著しく変化する状況下では、健全な成長、発達及び精神面に重大な影響を受けやすい(1)。また成長の過程にある小児期に災害によって引き起こされる放射能や有害物などによる環境汚染に曝露されることは、その後の成長発達に極めて深刻な影響を及ぼす危険性を含む。
 近年、わが国の災害対策は「災害対策基本法」に基づく関係法令や国庫補助制度などにより推進され、1995 年1月に発生した阪神・淡路大震災の翌年には、災害拠点病院の指定、広域災害・救急医療情報システムの整備など大幅に災害医療体制が見直された(2)。これにより高齢者・障害者の健康維持に配慮した緊急即応措置が講じられるようになったものの、災害時の小児の健康を守るシステムの基盤整備はいまだ十分と
は言えない。このため阪神・淡路大震災よりも更に大規模な被害をもたらした東日本大震災に被災した多くの子どもたちの健康維持に関する問題は山積しており、災害時の子どもの健康を守るシステムの構築は急務といえる。そこで、今後推進すべき「災害時の子どもの健康を守るシステム」は、1)小児と家族の健康維持に関する支援、2)災害時の医療の継続性への支援を基本骨格とし、以下の細目につき重点化することを
提案する。加えて、3)東日本大震災の正確な記録を残すシステムの構築も必要不可欠と考えられる。
提言
ア 被災した子どもと保護者の健康増進を図るための施策を行う。
(ア) 生活の場に関する環境を整備する。
 避難生活を送っている子どもがそうでない子どもと比べて健康生活に障害を経験しやすいとされる(3)。その要因の一つとして日常生活(食事、睡眠、清潔、排泄、学び、遊びの場)の劣悪化があげられる。また災害により健康を害した患児が回復するためにも生活環境の改善が重要である。従って、生活の場の環境整備は小児の健康を守る上で必要不可欠である。
(イ) 乳幼児の栄養管理を充実させる。
 災害時における乳幼児の適切な栄養管理、支援は乳幼児の生命を守ることに直結する。専門機関や行政機関が連携して災害時の母乳代用品、その他の乳製品、安全な水の供給に加えて、乳幼児の栄養に関する適切な情報の提供を行う。また、被災地では食物アレルギーを持っている小児は栄養上、深刻な状況に置かれる。このためアレルギー食に関する支援、備蓄の整備も重要である。
(ウ) 子どもの健康度を評価し、問題点を抽出する。
 災害時には通常、医療機関、教育機関で行われる健康診断が中断される状況が予想される。また子どもは自分の気持ちや身体症状をうまく表現できないこともあり、特に平常とは異なる避難所などの環境下では病気の兆候が見逃されやすいことが懸念される。このため、医療スタッフだけでなく家族及び学校関係者も連携して子どもの健康観察を行い、健康や発育の問題点の早期抽出に努める(例:問診表、観察表などの導入)。
(エ) 子どものこころのケアを行う。
 子どもは災害による恐怖や喪失感などの心理的ストレスによりこころの症状のみならず身体の症状も現れやすく、時にはそれが成長や発達の妨げになることも報告されている(3)。従って、医師や心理療法士によるケアの早期介入及び長期のフォローアップ体制を整備する。
(オ) 長期的な子どもの健康モニタリングを行う。
 東日本大震災では、それに次ぐ放射能汚染が大きな問題となっている。言うまでもなく成人よりも小児の方が放射線被ばくの影響を受けやすいことが知られている。従って、悪性腫瘍や甲状腺障害、成長障害など放射線被ばくによる長期的な健康問題を監視するシステムを構築する。
イ 災害時の医療の継続性を保つための支援を行う。
(ア) 慢性疾患の通院、服薬を保障する。
 継続的な通院や服薬が必要な慢性疾患をかかえる患児に対して、通院継続が可能な医療機関の情報公開ならびに緊急時の患者情報伝達手段のシステム化を図る。
(イ) 急性期疾患に対応する。
 受け入れ可能な病院の情報公開、小児医療チーム派遣システムの構築(DMAT、JMAT、日本赤十字社、日本小児科学会からの派遣、各医療機関からの派遣の統制)を行う。また小児科医を派遣した医療機関において後方支援の体制を徹底化する。
(ウ) 予防接種を受けられる体制を構築する。
 災害により定期予防接種が受けられない場合でも定期接種を受けられる措置を講じる。予防接種の実施規則の一部改正の拡充化を図る。
(エ) 在宅医療を受けている患児へのケアを守る。
 災害時における医療スタッフの訪問、家族の負担の軽減化に関する社会制度の構築を行う。また長期にわたる停電対策を徹底化する(発電機の装備など)。一時的な措置入院が受け入れ可能な施設に関する情報公開のシステム化を図る。
(オ) 障害をもつ子どもを支援する。
 避難所での共同生活が困難な障害をもつ子どもに対して、行政、専門機関が連携して一時的な受け入れ施設の情報公開、斡旋を行う。また障害の子どもを持つ家族への医療スタッフによる支援体制も整備する。
(カ) 医療スタッフの災害医療に関する知識を普及させる。
 災害時に適切に対応するためには平常時より医療スタッフが災害医療に関して正しい知識を身につけていることが重要である。講習、研究会等の参加や防災訓練を含めた実地トレーニングの普及を推進する。
ウ 東日本大震災の正確な記録を残すシステムを構築する。
(ア) 今回の災害に関して継時的な記録を残す。
 被災した子どもの健康問題及び災害被害に関する情報を継時的かつ体系的に収集し、データベースを構築する。
(イ) 子どもの問題について、継時的に問題点を列記する。
 急性期、亜急性期及び慢性期に生じる子どもの問題点の抽出と把握を医療者や教育者を中心に進める。
(ウ) 問題点の解決法を指摘する。
 有識者と行政の連携により問題点の解決法を指摘し、克服を目指す。研究班の編成など検討する。
(エ)行政機関や医療機関における新たな情報管理体制を構築する。
 遠隔地の巨大なサーバー群に情報を預け、インターネット経由で利用する新しい情報技術が注目されている。情報の流出に十分な配慮が不可欠であるが、遠隔医療制度、電子カルテのネットワーク化などを早急に導入し、医療サービスの継続性を確保する必要がある。


(6) 被災した子どものこころのケア
現状と課題
ア 災害による心理的影響
 災害は恐怖の体験、つまりトラウマ性のストレスであり、トラウマになる危険性がある。初期には異常な状態への正常な反応であるが、それが強すぎると急性ストレス障害となり、長期に生活に影響する反応があれば外傷後ストレス障害(PTSD)になる(1)。長期のトラウマ性のうつ状態になることもある。子どもにおいても災害トラウマによる反応が見られ、長期に続く危険があることは阪神淡路大震災において証明された(2,3,4)。
 災害によるストレスはそれのみならず、家族を失う、家を失う、コミュニティーを失う、それまでの日常生活や先の見通しを失うなど、何らかの喪失体験を伴う。しかも予期できない喪失、つまりトラウマ性の喪失となる。トラウマとなる恐怖体験時には、自分を守ってくれる愛着対象である親を最も必要とする時であり、親を失うことは自己の基盤を失うことになり、非常に大きな打撃になる(5)。喪失に対する反応である悲嘆反応は年齢によって異なるが、抑うつ感情、無力感、罪悪感、退行、否認、亡くなった親との同一視、怒り、身体化などがみられる。中には後追いやうつからの自殺企図に至る子どももいる。愛着対象である人などを亡くしたという新しい状況に適応していく心理的過程は「喪の作業」と呼ばれ、年余の時� ��を必要とする。愛着及びその喪失に関して研究したBowlby が「親を亡くした子どもの喪の作業は大人における病的な喪と同じである」と述べている程、子どもの喪の作業は支援が必要な状況である(6, 7)。特に、子どもはその場では否認して悲嘆感情を表出せず、後になって精神的な問題を持つことが多い。一見問題を感じない子どもへの支援も大切で、長期の支援が必要である。
 災害直後にはそれまでの生活とは大きく異なる生活が強いられることが多い。避難所暮らしはもとより、ライフラインの停止、物流の停止などで生活が制限される。
 さらに、子どもにとっては学校や保育園が休校や休園となり、遊びの機会が減少するなど、生活が大きく変化することになり、適応ができない子どもも少なくない。
 また、その後のコミュニティーの変化は子どもにも大きな影響を与える。親しんだ地域から離れ、仮設住宅などで新しい生活を長期に体験することも子どもと家族に大きなストレスとなる。親もトラウマや喪失を体験しており、生活再建に忙しくて子どもに目が行き届かずネグレクト傾向となることもある。一方、子どもも甘えを出せずに、身体化の症状が出現し、長期に影響が出ることもある。その点を考慮した支援も欠かせない。
 今回の災害では福島第一原発の事故による被ばくの問題が極めて特徴的である。一般の災害では、著しい恐怖体験と喪失体験が一度に起きるが、その後は生活も徐々に復興に向かう。しかし、今回は、福島第一原発の事故後に次々と新たな問題が生じた。「何が起きているのか、何が起きるのか、いつまで続くのか」などの不安が引き続き、地震・津波災害当時に比べると低レベルではあるが、慢性ストレスとなっている。チェルノブイリの原発事故後の長期フォローでは親の不安の影響が強いと言われる(8)。今回も親のストレスは非常に高いと考えられ、加えて子どもが戸外で遊べないことによる子どものこころへの影響も考えられる。これまで慢性ストレスの子どもへの影響について知見が少ない。したがって、津波被害という� ��性トラウマを受けた後の慢性ストレスの影響は大きいと予測して子どもへの支援を行うべきである。
イ 東日本大震災後の子どものこころのケア体制構築の必要性
 トラウマ反応の場合、初期には多くの子ども達が急性ストレス反応を起こすが、徐々に安心感を取り戻す。初期からの親の対応のあり方に関しての啓発が行われている(9)。その反応が著しく強い時や、長期に引き続く時、新たな反応が出てくるときなどは支援が必要である。また、初期に心理教育を行うことでそれらを防ぐための予防的対応、早めに子どもの症状に気付くための親や教師への啓発、地域での支援、専門的支援がシステムとしてなされることが必要となる。また、災害時のトラウマ性ストレスに関しては災害の特徴、文化の問題などがあり、長期的支援の有効性を明らかにする介入研究がなされる必要がある。
 災害においてはトラウマに対しても注目が強く、喪失体験への注目は低い。しかし、今回の災害が広域であったことや親子が別々に活動している時間帯に発生したことなどから、子どものこころに最も影響を強く及ぼす親を喪失した事例が多かった。現在、厚生労働省が把握しているだけでも東日本大震災で孤児となった子どもは、7月29 日現在で、岩手県91人、宮城県117人、福島県21人、合計229人であり、片親を災害で失った遺児は岩手県445人、宮城県711人、福島県139人、合計1,295人である。しかし、これまでも調べが進むに従って数字は増加してきており、就学前の子どもで早期に移転した子どもや3県以外の子どもは把握が困難であり、その数は更に多いと推定される。また、実際に子育てを担当していた祖母や祖父を失った子どもも多いと推定される。
 喪失体験に対しては、子どもの悲嘆反応を理解して寄り添う人が必要である。喪失体験をした子どもの周囲の大人たちにその反応を理解してもらい、寄り添うことの大切さを伝えなければならない。また、喪の作業を支援するためには、亡くなった方の記憶を共有し、過去の記憶とすることが必要である。しかし、津波で思い出の手がかりとなる写真や品物が残されていないことも多く、過去の記憶の現実性を確認することが難しい。また、被災県に居住している子どもだけではなく、移転した子どもに対しても、長期の支援が必要である。
 生活変化のストレスに関してはできるだけ早く通常の生活に戻ることが最も重要であるが、それが不可能なことも少なくない。多くの場合、コミュニティーを回復することが困難で、仲間と離れての暮らしや以前と比べて不自由な暮らしになる。仮設住宅などでの新しいコミュニティーの中で子どもたちが安全に守られ子どもらしい生活を営むことができるような配慮が必要となる。
 原発問題による慢性ストレスはこれまでの災害にはない問題点である。すでに差別やいじめなども生じており、「事実」を基礎とした子ども達の心理教育やケアは欠かせない。にもかかわらず、心理教育に必要な「事実」を明確に伝えることが難しいという問題もあり、心理教育の早急に開発が必要である。
提言
ア 「子どもケアセンター(仮称)」の構築
 阪神・淡路大震災では、急性期の救護所にかわり、長期のPTSDなどに対応するために「兵庫県こころのケアセンター」が設立された。この構想はアメリカ西海岸で相次いだ大地震後のメンタルヘルス活動が基になり、更にそれを発展させており、有効なケアに結びついている。さらに、JR 福知山線脱線事故などに関してもその後のケアに有効性を発揮した。しかしながら、その対象は主として成人であり、子どものケアについては母子保健、教育、福祉が統合されて行われているとは言い難い。
 今回の震災は広域で、そこに暮らす子どもの数も多く、親を失った子どもも多い。そこで、今後を担う子どもに対する包括的ケアを充実させることを目的に、少なくとも各県に一か所の「子どもケアセンター(仮称)」を設立し、保健・福祉・教育と連携してケアの充実を図る必要がある。また、各地のセンターの連携を図るとともに全国にいる被災児たちへのケアを行う「中央子どもケアセンター」を設立して、下記に示すイ〜カの様に対応することが必要である。
イ 子どもや家族への予防的な心理教育を行う。
 子どもの年齢に応じて「事実」を伝え、恐怖や不安などの感情を認識して受け入れてリラックスする方法を体得して自己をコントロールすることができるようなストレスマネージメントを中心とした心理教育を子どもに行う(10,11)。これらの心理教育に加え、親に対しての心理教育も重要である。特に、忙しい家族にとっては子どもに目が向かない危険があり、子どもの問題への気づきを促す教育も必要となる。
ウ 被災家族・地域へのケアを行う。
 子どものこころのケアは家族全体にケアがなされないと有効ではないことが多い。逆に家族へのケアを行うことで子どもに直接ケアしなくても子どものこころの回復が早まることも少なくない。更に、被災を共有できるコミュニティーの存在が家族及び子どもの回復を助ける。コミュニティー全体がうつ状態であったり、怒りが強かったり、互いに信頼できない場合はそこに暮らす人々にとっても悪影響がある。
 仮設住宅などの新たなコミュニティーの中での子どもの居場所づくりなど、子どもの心理に配慮した支援が求められる。また、コミュニティー全体を考えながら、家族と子どもへのケアがなされること、つまり、子どもへの個人的なケアだけではなく、ソーシャルワークを中心としたケアを行う。
エ 子どもの心身をケアする体制を構築する。
 今回の被災地である東北地方はもともと子どものこころのケアに関する社会資源が充足していない地域が少なくない。その中でどのようなシステムの構築が可能であるかを早急に提示する必要がある。身近な存在である保育士や教師が日常の生活の中で子どものこころのケアを行い、保健師や医師(小児科医)が日常の相談を受けて対応するシステムがあることが前提である。子どもは心身が未分化であり、こころと体は同時にケアする必要があること、また、家族も身体の心配の方が表現しやすいこともあり、特に就学前の子どもでは、医療・保健のシステムを有効に利用する必要がある。そして、それらの地域にとって特殊な問題である災害ストレスにも適切に対応出来る人材を育成し、定期的な相談を行うことにより専門的治療� �必要な子どもを見つけ、治療に結びつけるシステムを構築する。即ち、日々の予防的ケアの積み重ね、親の気づきや支援者の気づきを促し、その気づきがあった時の相談先を明示し、相談を受けた人がトリアージして専門家につなげる支援体制が必要である。地域によっては医療機関へのアクセスが良くないことがあるので、携帯サイトなどを利用した相談システムを開発することが望まれる。
オ 全国に転居した子どものこころのケアを行う。
 被災及び放射線被ばくが原因で転居する子どもが増加している。子ども自らの希望によらずに転居が余儀なくされており、新たな環境に適応することは子どもにも家族にもストレスである。特に、親を失って遠い親戚に引き取られた子どもにとってはなおさらである。新しい環境の中でトラウマからの回復や喪失後の喪の作業が必要となる子どもと家族のこころの負担を全国の専門家が認識する必要がある。厚生労働省も保健師向けに通達を出しており(12)、全国的に支援が行われる体制を早急に構築する必要がある。
カ 新しい治療法を開発し、その有効性に関する調査研究を行う。
 今回の災害は広域であり、かつ津波よる被害と放射能被ばくによる被害とが合体している特徴を持つ。このような複合的災害における子どものこころへの治療法やケアの在り方を開発するともに、その有効性に関する調査研究が必要である。


<参考文献>
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[2]Green BL, Korol M, Grace MC, et al: Children and disaster: age, gender and parental effects on posttraumatic stress disorder symptoms. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 30: 945-951,1991
[3]Green BL, Grace MC, Vary MG, et al:Children of disaster in the second decade: a 17-year follow-up of Buffalo Creek survivors. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 33:71-9,1994
[4]神戸大学医学部小児科「災害時における家族支援の手引き」編集委員会(委員長 中村肇)編:日本子ども家庭総合研究所・監修:災害時における家族支援の手引き。1998、2011
[5]奥山眞紀子:親の死に対する子どものmourning. 小児の精神と神経 31:123-129、1991
[6]Koocher G: Childhood, Death, and Cognitive Development. Develop Psychol 9:369-375, 1973
[7]Bowlby J: Pathological Mourning and Childhood Mourning. J Am Psychoanal Assoc 11:500-541,1963
[8]Bromet EJ, Goldgaber D, Carlson G, et al: Children's well-being 11 years after the Chornobyl
Catastrophe. Arch Gen Psychiatry 57: 563-571, 2000
[9]子どもの心の診療拠点病院推進事業 中央拠点病院 国立成育医療研究センター:ご家族の皆様へ http://kokoro.ncchd.go.jp/uploads/to_family.pdf
[10]子どもの心の診療拠点病院推進事業 中央拠点病院 国立成育医療研究センター:こころとからだのケア http://kokoro.ncchd.go.jp/uploads/to_protected.pdf
[11]子どもの心の診療拠点病院推進事業 中央拠点病院 国立成育医療研究センター:災害心理教育 http://kokoro.ncchd.go.jp/saigai_senmonka.html
[12]厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課:東日本大震災により被災地から移住した子どもとその家族への支援について

平成23年5月23日 事務連絡



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